【コラム】 「触れる」意識と「触れられる」意識


私たちは日常を「触れる」意識で暮らしています。

ものを取る。ものをつかむ。立つ。座る。
ほとんどの場合、必要以上に力を入れてしまい、
その度に自ら姿勢を崩しています。

コップをつかむ

実験してみましょう。

机の上の手の届く範囲にコップを置き、
何も考えないで、手に取ってみてください。

このとき、頭の位置を意識してみてください。
無意識に、頭がコップの方向に近づいた
のではないでしょうか?
そして、
コップをしっかりとつかんだ
のではないでしょうか?

次に、「触れられる」という意識で持ってみます。
コップの方が、手のひらに触りに来てくれる、
というような意識です。
(当然、実際は手を伸ばして取りに行きます)

このときの、頭の動き、腕の力の入り方を
チェックしてみてください。
頭はあまり動かず、肩の力も入らず、
ぎゅっと握るのではなくそっと触れるように
コップを持てませんでしたか?

「触れる」と「触れられる」の違い

・「触れる」
→能動的。自分から動く:姿勢が崩れる
・「触れられる」
→受動的。相手が来るのを受けとめる:姿勢が崩れない

・「触れる」
→力を入れる:必要以上の力を出す
・「触れられる」
→相手に応じた力を返す:必要最低限の力だけで済む

この「触れられる」意識は、すべての動作に応用できます。
イスに座るとき、ドスンと座面にぶつかるのではなく、
そっと座面に「触れられる」ように座ります。

ペンを持つのでも、ギュッと握るというよりも、
ペンと指が触れている部分を意識し、
その重みを感じてみます。

特にスポーツをしている人は、
強い力を出すことに慣れていますから、
必要以上の力を出してしまいがちです。

日常の中で身体の使い方に気を配ることで、
どんどん身体を繊細にコントロールできるようになり、
結果として身体にかかる負担も小さくなります。

コップやペンを持つときには、
このことを思い出してみてください。

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